イクメン発!プロジェクトの今を語ろう
「イクメンの星」と大臣の対談、推進チームメンバーのインタビューなど、プロジェクトの今が見えるトークセッションの模様を随時お届けします。


推進チームメンバーと大臣が集結!(左から)山田正人氏、佐藤博樹氏、安藤哲也氏、長妻昭厚生労働大臣、駒崎弘樹氏、小室淑恵氏。


育てる男が、家族を変える。社会が動く。2010年6月17日、ついにその第一歩となるイクメンプロジェクト発足式が厚生労働省にて開催されました。「イクメン発! プロジェクトの今を語ろう」第1回目は、熱気あふれるその模様をリポートします。

多くの報道関係者の皆さんが集まる中、いよいよ発足式がスタート。まずは長妻昭厚生労働大臣からのあいさつです。プロジェクトへの強い意欲と期待を語りました。

「現在は、3人の現役世代が65歳以上の方1人を支えるという状況。2055年には現役世代1人が65歳以上1人を支える形になります。社会保障の担い手という意味からも、少子化の流れは変えなければなりません。 子ども手当や保育サービスの拡充だけでなく、子育ての時間を作れなければ、それはもう子育て支援とは言えない。改正育児休業法の施行とあわせ、お子さんを生みたいという方がそれを実現できる、そして夫も育児に積極的に参加できる社会へ向けて、企業も含めた意識改革を進めたいという思いでこのプロジェクトを結成しました」

大臣自身の育児経験はというと、「選挙、選挙の人生で、ときどき家に早く帰ったときに子どもをお風呂に入れて、妻に渡したくらい」と苦笑しながらも、「実は私自身の意識改革が一番重要と痛感しております。私もまだ子育て中の年齢でもあるので、これからできる限り努力をしていきたい。よろしくご指導ください」と決意を語りました。
続いて、ロゴとポスターの発表です。ロゴのレッドカラーは、イクメンたちの情熱を表現しています。大臣からスローガンが読み上げられ、制度改正などを解説したポスターの紹介が行われました。

イクメンプロジェクトは、各分野で活躍する7名のメンバーにより構成された「イクメンプロジェクト推進チーム」が活動内容を検討し、牽引していきます。この日は5名が集まり、プロジェクトへの意気込みを語りました。



メンバーの1人である駒崎弘樹氏は、病児保育サービスを行うNPO法人フローレンスの代表です。病児保育とは、突然の発熱などで一般の保育園に預けられない子どもを、地域の元保育士や元幼稚園の先生などが小児科医と連携しながら預かるサービス。ベビーシッターをしている駒崎氏のお母様から「子どもの発熱で会社を休んだら解雇されてしまった人がいる」という話を聞いたのが、病児保育に取り組むきっかけになりました。

「もしその方の夫がイクメンであれば、子どもの看病をしてもらえて、お母さんは解雇されなかったかもしれない。子どもを育てるのは母だけでない。父も子どもを育てることに参加し、それを暖かく包み込む社会であったならば、この病児保育という問題は、実は問題ではないかもしれない。そんな社会を夢みて、このプロジェクトに参加しました。多くの人にイクメンになっていただき、子育てと仕事の両立が当たり前の社会にしていくことができたなら本当にすばらしいことじゃないかなと思います」

9月にお子さんが誕生するという駒崎氏。「私は経営者ですが、10、11月に育児休業を取りたい。そして経営者の方々に育休をはやらせたいと思います」と、堂々イクメン宣言しました。



企業の働き方を変えるためのコンサルティングを行う(株)ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵氏は、4歳のお子さんの母でもあります。

「ママの立場からは、週に2回以上のお迎え、そして2か月以上の育児休業を切望します! 2か月では短すぎるけれど、それだけでもママが毎日どれだけ必死に段取りをして定時に帰っているのかがわかるはずです。一度体感すれば、お互いの役割を理解し、リスペクトし合い、夫婦関係が激変すると思います」

企業コンサルティングという立場からも、経営者に向けてエールが送られました。
「これからは団塊ジュニア世代が介護と育児を担い、時間制約のある人がどんどん増える時代。企業はそれを認識しなければなりません。いつまでも24時間型の社員に頼る構造は、沈みながら進んでいる船のようなもの。これにいち早く気づいて対策を打った企業は、10年後、20年後にきちんと利益が出せます。
そう考えると、今イクメンに対応するというのは非常にいい準備。時間制約のある人は当たり前、その人にしっかりモチベーションを上げて働いていただき、それで利益が出せる構造にする。福利厚生だけではなく自社のビジネスのためにもという、Win-Winで気付き合えるプロジェクトにしたいと考えています」



東京大学教授の佐藤博樹氏は、働く人のワーク・ライフ・バランスを実現するための企業の取り組みについて研究を進めています。「時代は変化し、ようやくここまで来たかという思い」と感慨深げに語りながら、プロジェクト推進に向けて3つのポイントを提言しました。

「一つ目は、男性を変えるためには女性にも変わってほしいということ。夫に子育てはできないと思ってひとりで仕事と子育てを抱え込むのではなく、夫をどんどん巻き込んでほしい。女性も同じだと思いますが、最初は子育てがうまくできなくてもだんだんうまくなるものですから。
二つ目は企業へのお願いです。今回の育介法の改正で男性が育児休業を取りやすくなったことを、自社の社員にしっかりと情報提供していただきたい。
三つ目は所得保障についてで、育児休業を取ると所得は確かに減りますが、給与の50%は給付でカバーされます。さらに社会保険料の免除もあります。だから、事実上60%強がカバーされるのです。このことは意外に知られていないんですね。また、所得が減ることになっても、子育てに関わることが夫婦にとっても子どもにとってプラスになるということをもっと伝えるべきだと思います」



横浜市副市長の山田正人氏は、経済産業省に勤めていた2004年に育児休業を1年間取得したことで話題になりました。しかし当時を振り返ってみると、やはり肩身の狭さを感じたことは否めなかったと言います。

「今、ようやく育児をする男性が認められる時代がきたと思うと、嬉しい気持ちでいっぱいです。
私が育児休業を取ったことで周囲からよく言われたのが、『あなたは公務員だから』。しかし公務員だって育児休業の取得率は1%しかないわけです。あなたは大企業だから、実力があるからというように育休を取る男性にレッテル貼りをすることは、自分が育児をしない理由をつけているだけ。結局は自分が親として、責任を果たすかという問題なんです。
イクメンというのは育児休業だけではない。子どもが熱を出したら早く帰る。あるいは送り迎えをする。いろいろなイクメンの道があり、どれかはできるはずだと思います。イクメンが大多数の時代になっていくターニングポイントを迎えつつある今、ぜひ皆さんの後押しをお願いしたいと思います」



最後は、推進チームの座長を務める安藤哲也氏です。父親支援のためのシンポジウムやセミナーを開催するなど、NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事としてさまざまな事業を展開しています。

「今日は多様な頼もしい意見が出て、座長としても心強い限りです。
今回のプロジェクトの数値目標のひとつに、男性の育休取得率の裏にある女性の就労継続率を2017年には55%まで高めたいというのがあります。今、出産で職をあきらめてしまう女性は全体の7割です。イクメンの増加は、女性の就労継続率を上げる切り札にもなります。
そしてイクメンだけでなく、かつて育児をしていた方々の意識改革も必要です。父親がおむつを替えるなんて、と思う世代に向けて経済環境も子育て環境も変化していることを伝え、理解を深めていただけたらと思います。
また、先ほど駒崎君から、企業経営者も育休をという提案がありました。トップの意識を変えることが、トップダウン的な日本の社会には必要だと思います。最近では一部上場企業の社長が育休を取るというニュースもありました。トップたちが動き始めているということで、徐々に空気が醸成されてきていると実感しています。
このプロジェクトを、すべてのパパ、ママが笑って仕事も子育ても両立できる社会を作るためのベースキャンプにしていきたいと考えています。すばらしいメンバーが集まりましたので、積極的にこのムーブメントを育てていきたいと思います」


その他のメンバーである渥美由喜氏((株)東レ経営研究所研究部長)、岡康道氏(タグボート代表)の2名は残念ながら欠席となりましたが、お二方の思いも、今後このコーナーで取り上げていきます。

この日に開設された本サイトをご紹介し、発足式は無事に閉幕となりました。 さあ、いよいよこれからが本番です。すでにニュースにも取り上げられ、話題になりつつあるイクメンプロジェクト。全国のイクメン&サポーターとともに、大きなうねりに育て上げていきたいと思います。ぜひ皆さんもご参加ください!



イクメンプロジェクト公式ツイッターikumen_project